大田区大森駅ナカの歯医者さん、大森のよこすか歯科医院です。
今回のテーマは「歯肉炎と歯周病」です。
歯肉炎とは、歯肉に炎症が起きている状態のことを意味します。
歯肉に炎症が起きることで歯肉が腫れて変色し、歯磨きの刺激などによって出血もしやすくなります。
さて、こうした症状に注目すると一見歯周病と全く同じに思えますが、
歯肉炎と歯周病にはどんな違いがあるのでしょうか。
目次
歯肉炎と歯周病はイコールで、正確には初期の歯周病とイコールです。
このため、歯肉炎と診断された場合は初期の歯周病であると判断してください。
ではなぜ病名が異なるのか?…実はこれについて深い意味はありません。
ずっと以前、歯肉の病気として歯肉炎と歯周炎と歯槽膿漏がありましたが、
最近ではこれら全てひっくるめて歯周病と呼ぶようになったのです。
つまり歯肉炎と歯周病は同じであり、病名が異なるのは単に今の呼び方と以前の呼び方の違いです。
歯科医によっては初期の歯周病の患者さんに対して歯肉炎と診断することがあります。
さて、なぜこのように以前の病名を使う歯科医がいるのかですが、
正確な答えはその歯科医に確認しなければ分からないものの、2つの可能性が考えられます。
1つは歯科医の経験が長い可能性で、長く歯科医をやっているため以前の病名をクセで使ってしまうのです。
もう1つは患者さんに病気に対して危機感を持ってもらうためで、
特に重度の歯周病を意味する歯槽膿漏は「膿みが漏れる」と書くためインパクトがあります。
歯周病になると歯を失うことから、高齢の方だけに発症するイメージがあります。
しかしそれはあくまでイメージであり、歯周病は若くても発症します。
これについては、「歯肉炎=初期の歯周病」という事実からも分かります。
なぜなら、小学校や中学校の歯科検診で歯肉炎と診断される子供がいるからです。
最も、子供は年齢的に代謝が活発なため、さすがに歯周病で歯が抜けることはまずないでしょう。
しかし歯周病が若くても発症する以上、年齢関係なく歯周病を予防しなければなりません。
歯周病は虫歯の痛みのような自覚症状がなく、そのため自分でも気づきにくい病気です。
とは言え、発症すると自覚症状が全くないわけではなく、進行度に応じた自覚症状がいくつかあります。
初期の歯周病…つまり歯肉炎になると次のような自覚症状があります。
・歯肉が変色する、腫れる
歯肉が炎症を起こすことで、歯肉が変色したり腫れたりします。
痛みはないものの触った感触も張りがなくなり、患部に触れるとプヨプヨした感触がします。
・歯肉から出血しやすくなる
炎症を起こした歯肉はささいな刺激で出血しやすくなります。
多いケースとしては、食事でかたいものを噛んだ時や歯磨きをした時に歯肉から出血します。
・口臭がする
歯周病になると口の中で歯周病菌が繁殖し、さらに歯肉から出た膿みや血液が原因で口臭が起こります。
口臭の原因は様々ですが、歯周病が原因による口臭は特に臭いがキツイとされています。
中期の歯周病…つまり歯周炎になると次のような自覚症状があります。
・歯が長くなって見える
歯周病が進行すると歯槽骨が溶かされ、その影響で歯肉退縮が起こります。
歯肉退縮によって歯肉が下がると歯が根元あたりまで露出するため、一見歯が長くなって見えます。
・冷たいものや熱いものがしみる
歯肉退縮によって歯の根が露出した場合、冷たいものや熱いものを飲食すると歯がしみます。
これは歯の根がエナメル質に保護されておらず、象牙質が剥き出しになっているためです。
重度の歯周病…つまり歯槽膿漏になると次のような自覚症状があります。
・歯が動く、揺れる
重度の歯周病になると歯槽骨も相当な量が溶かされてしまっており、歯は不安定な状態です。
このため、指で触れるだけで歯が動いたり揺れたりします。
・噛んだ時に痛む
歯槽骨が溶かされると歯は支えを失い、そのせいで傾いてしまうことがあります。
そして、この状態で噛むと強い痛みを感じます。
いかがでしたか?
最後に、歯肉炎と歯周病についてまとめます。
1. 歯肉炎は初期の歯周病 :歯肉炎は初期の歯周病と同じで、単に今の呼び方と以前の呼び方の違い
2. なぜ歯周病ではなく以前の病名を使うのか :歯科医によっては長年のクセで以前の呼び方をする
3. 歯周病は若くても発症する :歯肉炎の子供がいる点から、歯周病は若くても発症することが分かる
4. 歯周病の自覚症状 :自覚症状が全くないわけではなく、歯周病も進行度に応じた自覚症状がある
これら4つのことから、歯肉炎と歯周病について分かります。
歯肉炎は初期の歯周病、歯周炎は中期の歯周病、歯槽膿漏は重度の歯周病とイコールです。
つまり歯肉炎と歯周病は呼び方が違うだけで、全く同じ病気です。
以前は歯肉炎、歯周炎、歯槽膿漏と病名がついていましたが、
最近ではこれら全てをひっくるめて歯周病と呼ぶようになったのです。
また、今でも以前の病名で呼ぶ歯科医がいますが、それについては特に深い意味はありません。