大田区大森駅ナカの歯医者さん、大森のよこすか歯科医院です。
今回のテーマは「虫歯を数年放置したらどうなるか」です。
虫歯の痛みは辛く、特に神経まで到達した虫歯は激痛に悩まされます。
しかし、やがて神経が死ぬとその途端に痛みは感じなくなります。
そうなると、中には痛まなくなったという理由で虫歯の治療を受けずに放置する人がいるのです。
確かに痛みは感じなくなったものの、ここで虫歯を放置することはさらに深刻な事態を招くことになります。
目次
一度進行した虫歯は治療しない限り治すことはできず、虫歯菌はずっと生き続けているのです。
本来虫歯は歯の病気ですから、虫歯による被害は歯のみと考える人がほとんどです。
実際に虫歯は歯に穴をあけ、進行することで最終的に歯をボロボロの状態にしてしまいます。
しかし放置すればこの状態になっても虫歯菌は生き続け、さらに悪さをするのです。
では、歯と神経を既に破壊した虫歯菌はそれ以上どんな悪さをするというのでしょうか。
今度は歯だけでなく、身体全体に害を及ぼす事態を引き起こしてしまうのです。
歯の神経が死ぬと歯の中でそれが腐り、歯の根の先から細菌がバラまかれます。
一方身体はそれに反応し、細菌が身体に侵入しないように袋を作って細菌を覆おうとするのです。
細菌を覆った袋は徐々に大きくなりますし、この袋は言わば細菌の塊のような状態になっています。
そうなると、歯肉が腫れて痛むようになるのです。この状態になると、容易な治療では治せません。
歯の根の治療をする必要がありますし、腐った箇所も除去しなければなりません。
さらに状態によっては歯肉を切開し、大きく膨らんだ膿みの袋を取り除く治療が必要です。
副鼻腔炎とは細菌が副鼻腔の粘膜に感染することで炎症を起こし、鼻水や咳や頭痛などが起きる病気です。
副鼻腔炎自体は1970年代頃から減少傾向にある病気ですが、虫歯の放置によって起こり得ます。
これは、上顎の奥歯が鼻の副鼻腔に近い位置にあるのが理由です。
歯の根の先から出た細菌が副鼻腔に溜まり、それが原因で副鼻腔炎が引き起こされてしまうのです。
副鼻腔炎の治療には時間が掛かり、抗生物質を一ヶ月ほど飲み続けなければなりません。
もちろん、副鼻腔炎の要因となった歯の根の消毒、清掃も必要です。
骨髄炎は熱や嘔吐が起こる辛い病気です。歯の根の中の虫歯菌が顎の中に広がることで骨髄に細菌が感染し、
顎の骨を腐らせて骨髄炎を起こします。骨髄炎を治すには抗生物質の点滴が必要ですが、
近年では抗生物質が発達したことで治療効果自体は上がっています。
とは言え、骨髄炎が慢性化すると再発が繰り返されるため、そうなると治療が難しくなってしまいます。
また、厄介なのは骨髄炎とすぐに気付けないことです。熱や嘔吐が起きれば真っ先に風邪を疑いますし、
最初は風邪薬や吐き気止めを飲んで対応してしまうからです。
虫歯の放置で最も怖いのは、それが原因で命にかかわる病気を招く恐れがあることです。
虫歯を放置することによって虫歯菌が血液に侵入し、血管を通じて全身に回ります。
この時、虫歯菌が脳に回ることで脳梗塞を引き起こし、心臓に回ることで心筋梗塞を引き起こすのです。
確率としては稀ですが、実際に虫歯を放置して死に至った例があることも事実です。
死亡の原因は脳梗塞や心筋梗塞ですが、それを招いた要因は虫歯の放置にあります。
治療の痛みは確かに嫌ですが、だからといって放置すると死に至る病気を招いてしまうのです。
いかがでしたか?
最後に、虫歯を数年放置したらどうなるかについてまとめます。
1. 治療しない限り虫歯菌は生き続ける :虫歯を放置すれば、歯だけでなく身体全体に害を及ぼす
2. 顎の骨に膿みが溜まる :歯の根の先から細菌がバラまかれ、顎の骨に膿みが溜まって歯肉が腫れる
3. 副鼻腔炎になる :歯の根の先から出た細菌が副鼻腔に溜まって起こり、鼻水や咳や頭痛などが起きる
4. 骨髄炎になる :歯の根の中の虫歯菌が顎の中に広がることで起き、熱や嘔吐が繰り返される
5. 脳梗塞や心筋梗塞になる :虫歯菌が血管を通じて全身に回ることで起き、実際に死亡した例もある
これら5つのことから、虫歯を数年放置したらどうなるかが分かります。
虫歯の怖さを挙げた時、ほとんどの人は「歯の痛み」と答えるでしょう。
確かにそれは事実ですが、虫歯は放置することで本当の怖さを見せるのです。
副鼻腔炎や骨髄炎など、虫歯とは一見無関係な病気を引き起こすことがありますし、
さらには脳梗塞や心筋梗塞といった命にかかわる病気を招く可能性もあるのです。
稀なケースではあるものの、虫歯の放置で死に至ってしまうリスクが発生するのです。
このため虫歯を放置することは厳禁ですし、虫歯を自覚したらすぐに歯科医院で治療を受けましょう。