どんな場合だとインプラントの手術ができないの?

大田区大森駅ナカの歯医者さん、大森のよこすか歯科医院です。
今回のテーマは「インプラントの手術ができないケース」です。インプラントは治療の過程で手術を行うため、患者さんにリスクが発生する治療です。

だからこそ、治療前には精密検査で患者さんの状態を詳しく調べます。そして、検査の結果によって手術できない…つまり治療できないと判断されることがあります。そこで、ここではインプラントの手術ができないと判断されるケースについて説明します。

重度の歯周病

インプラントの手術内容は、顎の骨に穴をあけてインプラント体を埋め込むことです。インプラント体は歯の根の役割を持ちますから、天然の歯同様に顎の骨によってインプラントは支えられます。そこで問題なのが、重度の歯周病になっている患者さんのケースです。

と言うのも、歯周病が進行すると顎の骨が溶かされますから、重度の歯周病だと溶かされた顎の骨も相当な量になっており、インプラント体を埋め込めないのです。このため、重度の歯周病になっている人はインプラントの手術ができないのです。

<補足>
この場合、骨移植などで不足している顎の骨の量を確保すれば手術は可能です。ただし骨移植はインプラント治療の一貫ではないため、インプラントの治療費とは別に費用がかかります。

年齢的な理由

インプラントにおいて明確な年齢制限はないものの、若い人や高齢の人は手術できないことがあります。まず若い人についてですが、患者さんが成人していない場合、顎の骨が成長途中の段階です。その状態でインプラントすると、治療前と治療後で顎の骨の状態が成長して変わっている可能性があります。

もちろん、歯科医は治療前の顎の骨の状態を考慮して治療を行いますから、治療の過程で顎の骨が成長してしまうと、インプラントに不具合が生じるかもしれないのです。次に高齢の人ですが、手術に耐える体力と長期間の通院ができないと判断されると治療はできません。

<補足>
こうしたケースを考慮して、歯科医院によっては年齢制限を設けている場合もあります。例え年齢制限がなくても、10代の人や高齢の人は治療できない可能性があることも考えておきましょう。

糖尿病

糖尿病になると糖が細胞に正常に送られなくなり、そのため傷に対する治癒力が低下します。また、細菌の感染に対する抵抗力も弱くなり、いずれも手術において大きな問題となります。このため、糖尿病の人はインプラントできないことがあります。

ちなみに、「できないことがある」と表現したのはできることもあるからです。あくまで歯科医の判断ですが、一般的には血糖値がコントロールできる状態であれば手術可能です。ですから、糖尿病の人でもまずは歯科医に相談してみることをおすすめします。

<補足>
糖尿病の人は歯科医に相談するのはもちろん、糖尿病治療の担当の医師にもインプラントしたい旨を相談してみると良いでしょう。

全身疾患がある

全身疾患のある人はインプラントできない可能性があります。例えば肝疾患のある人だと出血が止まりづらいため、手術をすることへのリスクが高まります。また腎疾患のある人だと骨が脆いため、インプラント体の埋め込みができない問題があります。

手術のリスクが高まることで安全性が疑問視されますし、インプラント体が埋め込めないことで治療の失敗の可能性が高まります。このように手術のリスクが高まる、もしくは治療失敗の可能性が高まる場合もインプラントできないのです。

<補足>
インプラントできるかできないかの判断基準として健康状態が重要ですが、それは口腔内の健康状態に限らず、全身の健康状態が関係してくる問題です。

ヘビースモーカー

インプラントにとって喫煙は天敵です。ですから、ヘビースモーカーの人はインプラントできないことがありますし、例えヘビースモーカーでなくても喫煙している時点でインプラントできないこともあります。

では禁煙すればインプラントできるのか?…それは歯科医の判断になります。タバコは身体に有害であることは既に周知の事実ですが、それは口腔内においても例外ではないということです。

<補足>
そもそも、なぜ喫煙がインプラントに害を及ぼすのかについてですが、インプラントしている人が喫煙すると、インプラント脱落を引き起こすインプラント周囲炎になるからです。

まとめ

いかがでしたか?
最後に、インプラントの手術ができないケースについてまとめます。

1. 重度の歯周病 :顎の骨が溶かされていることで、インプラント体を埋め込めないため
2. 年齢的な理由 :顎の骨の成長途中、手術に耐える体力がないなどの理由のため
3. 糖尿病 :傷の治癒力が低下しており、手術の安全性が疑問視されるため
4. 全身疾患がある :出血が止まりにくい、骨が脆いなどの理由のため
5. ヘビースモーカー :インプラント脱落を引き起こすインプラント周囲炎になる可能性があるため

これら5つのことから、インプラントの手術ができないケースについて分かります。「〇〇な人はインプラントできない」…こうした点がいくつかあるところを見ると、インプラントというのは簡単にできない治療であることが想像できると思います。それはそのとおりです。入れ歯と違って気軽に治療できないことが、インプラントの欠点でもあるのです。

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この記事を書いた人

「その人医療」をコンセプトとして掲げ、日々診療を行っています。
医療を受けるその人の、その後の人生までを視野に入れて診療を行い、良きパートナーとして今後のお付き合いをさせていただきたい。
そういった想いを持って「歯科」という切り口からアプローチしています。

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