大田区大森駅ナカの歯医者さん、大森のよこすか歯科医院です。
今回のテーマは「歯の神経を抜くことについて」です。
虫歯治療は「歯を削って詰め物で処置する」が基本ですが、それだけで治せないこともあります。
虫歯が象牙質よりもさらに奥まで進行している場合、治療の中で神経の除去が必要になることもあります。
「歯を削れば虫歯を治せる」と思っていた方にとって神経の除去は予想外の治療であり、
そのため神経を抜くことに不安を感じるのではないでしょうか。
歯の神経の役割
歯の神経は普段その存在を感じることはないものの、実は日常生活において大切な役割を果たしています。
・食生活における役割
冷たいものを飲食すれば冷たく感じ、温かいものを飲食すれば温かく感じます。
これらは食事において当然の感触ですが、こうした感触が得られるのは神経のおかげであり、
つまり神経は食生活を楽しむ上で重要な役割を果たしています。
・歯の健康における役割
虫歯や歯周病の原因菌は常に口の中に存在しています。
それでもすぐに歯が虫歯や歯周病にならないのは、歯に栄養が行き届いているからです。
そして、こうした栄養を歯に届けているのが神経であり、神経内の血管を通じて行き届けられています。
・歯の異常を知らせる役割
虫歯を自覚するきっかけとして最も多いのが「痛み」です。
つまり、「痛み」という自覚症状が私達に歯の異常を知らせているのです。
そして、こうした痛みを脳に伝えるのも神経の役割です。
・歯を守る役割
虫歯になると、神経によって防御機能が働いて歯を強くさせます。
さらに神経は虫歯の原因菌が進む道を塞ぎ、虫歯の進行を食い止めようとします。
すんなりと虫歯が進行しないのは、このように神経が歯を守っているからです。
歯の神経を抜くのはなぜ
治療の中で歯の神経を抜けば、上記で説明した神経の役割が得られなくなります。
それでも歯の神経を抜くのは、歯がそうしなければならないほど深刻な状態になっているからで、
例えば次のようなケースでは神経を抜かなければなりません。
・虫歯が神経まで進行した場合
虫歯はどんどん歯の奥に進行していき、やがて神経まで到達します。
そして神経が虫歯の原因菌に感染してしまうことで、激しい痛みをもたらします。
この激痛が続くと眠ることすら困難なため、ここまで虫歯が進行すると神経を抜かなければなりません。
・重度の知覚過敏が起こった場合
知覚過敏とは、歯が刺激を受けた時に一瞬ピリッと感覚がすることで、
表面のエナメル質が傷ついている場合などに起こります。この知覚過敏が重度の場合、
象牙質まで傷ついて激しい痛みをもたらすため、神経を抜かなければなりません。
・歯の根っこに膿みがたまった場合
歯の根っこが細菌に感染すると、その先端部分に膿みの袋ができてしまいます。
そうなると激しい痛みをもたらすため神経を抜かなければならないですし、
この場合状態によっては既に神経が死んでしまっている可能性もあります。
歯の神経を抜く治療
歯の神経を抜く場合に必要となるのは根管治療と呼ばれる治療です。
治療の目的は細菌や細菌に感染した神経を除去し、根管内の清掃と消毒をすることです。
ただし、根管治療は気軽できる治療ではなく、その理由は2つあります。
まず治療内容自体が患者さんにとって大きな負担となることで、
麻酔を使用するものの、刺激に敏感な神経が集まる根管内の治療では痛みを感じるでしょう。
もう1つの理由は、根管治療は難易度が高い治療であるためです。
根管内は患者さん…つまり人によって全く異なった形状になっている上に目で確認できません。
このため歯科医はレントゲンやCTを使用して、根管内の形状を慎重に確認しながら治療を行います。
仮に細菌が少しでも残ってしまえば、治療後に再び激しい痛みを感じてしまいます。
歯の神経を抜くとどうなるか
歯の神経を抜くと、神経の役割が全て失われてしまいます。
歯に栄養が行き届かなくなることで歯は脆くやわらかくなりますし、見た目も黒ずんで変色します。
さらに痛みも感じなくなることで、その歯に異常が起こっても気づきにくくなってしまいます。
このため、今後の日常生活において歯の神経を抜くことはデメリットしかないのです。
しかし虫歯の状態次第ではどうしても神経を抜く必要があるため、
それを防ぐには虫歯を予防する、そして虫歯になったらすぐに治療することが大切です。
まとめ
いかがでしたか?
最後に、歯の神経を抜くことについてまとめます。
1. 歯の神経の役割 :食事において温度差を感じる、歯に栄養を届ける、歯の異常を知らせるなど
2. 歯の神経を抜くのはなぜ :虫歯が神経まで進行した場合などは神経を抜かなければならない
3. 歯の神経を抜く治療 :根管治療と呼ばれる治療で、治療の難易度が高い
4. 歯の神経を抜くとどうなるか :歯が脆くやわらかくなる、見た目が黒く変色するなど
これら4つのことから、歯の神経を抜くことについて分かります。
歯の神経を抜けば当然神経は失われてしまいますが、それ以外でも神経が失われるケースがあります。
例えば虫歯を放置する…この場合はいずれ歯の神経まで虫歯が進行しますが、
その状態でも治療しなければ神経は死んでしまいます。
つまり虫歯が酷くなると治療においても症状においても神経が失われてしまうため、
そう考えると神経を守るには虫歯の予防もしくは早期治療が必要です。